対話ログ(五つのやりとり)

Vision Pro体験の後、ラゾーナ川崎のルーファ広場で収録したインタビューより。森田さんが情景を増やす質問をし、鴨下さんが答えていく。ここでは、体験の意味が立ち上がった五つのやりとりを抜き出した。(記録:森田/編集:カズヒコ)


1. 見えているものを聞かれて、言葉が止まる

操作中に何が見えていたかを尋ねた場面。情景を引き出そうとする問いに、答えはすぐには出てこない。

森田:その操作してる時には、どんなものが見えてたんですか。

鴨下:うーーん……(しばらく無言)

森田:なんか、触り心地とか、音とか、画面。

鴨下:画面……なんだろうな……(しばらく無言)

森田:指の動きとか。


2. 機械とのあいだにある「溝」

指を空中で動かす操作について。外から見れば「間抜けな仕草」に映る動作を、内側からはこう語った。

森田:そうなんだ。周りから見てると、めっちゃ間抜けな人だけどね。指を二本前に突き出して、ニューって引っ張ったり、つまんだり、何にもないところでやってるから。傍で見てると「何やってるんだろうな」っていう感じ。それはあれなの、何。

鴨下:認識が微妙かなって。

森田:悪いっていうか、なんかその、馴染まないって感じがした?

鴨下:機械もリントさんも歩み寄らないと、まだ2人の間に溝がある感じかな。


3. 視線入力が、子どもの頃の記憶につながる

Vision Proの視線トラッキングを体験して、鴨下さんは「懐かしい」と言った。それがどこから来た感覚なのかをたどっていく。

鴨下:目線。最初の目線やるの、すごく懐かしい。

森田:懐かしい?

鴨下:目のレッスンで、散々目で追うことはよくありましたから。

森田:視線入力っていうのを以前やったことがあるってこと?

鴨下:入力じゃないけど、視線トラッキングの練習っていうか。顔を動かさず、目の訓練を。

森田:眼科とかで、そういう……治療を受けてたって感じ?

鴨下:イエス。

森田:子供の頃とかにやったことがあるってことね。なんで眼科でそんなことをやることになるの?斜視の?

鴨下:斜視の関係。


4. 体験の最中、店員の接客を「盗んで」いた

キャリブレーションの失敗で店員が何人も集まってきた場面。何が見えていたかを問うと、意外な観察が返ってきた。

森田:なんか見えたものはあった?観察はする余裕がなかった?結構見てた?

鴨下:見てた。職場で活かせるところがあったら、盗もうかなと思いながら。

森田:え、何、どういうこと?

鴨下:私、接客やってるから。職場で活かせそうかなって。


5. 「半分、信じてないんだと思う」

プリズム入りの眼鏡では体験を断られるかもしれない——そう想定して来店したことについて。Appleへの距離の取り方が語られる。

森田:自分の価値観で賭けに出るってことが、あんまりリントさんはないって感じかな。だって、これで本当にApple信じて裏切られたら、めっちゃ落ち込むじゃん。「信じてたのに」と思って。

鴨下:半分、信じてないんだと思うんだけどね、ある意味。いろんな……それはあると思う。

森田:りんとさんが。最悪の場合は想定しておくみたいな感じ。

鴨下:そういう考え方じゃないけど、ある程度、とりあえず、様子見というか。そういう考え方なのは、あるよね、私は。なんでも。


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