録音3-ディスレクシアの実演・特等席・観察の哲学

録音3 ディスレクシアの実演・特等席・観察の哲学

取材対象: 鴨下琳斗(りんと)
聞き手: 森田
状態: 修正済み最終版


ディスレクシアの実演

森田: ディスレクシアなのに、どうやって文字を読んでるの?

琳斗: キッコネにいた頃、「ディスレクシアならこれ読んでよ」って言われたことがあって。「目の前のペットボトル、この文字読める?」って試されたことがあって。読んでみたら正解だった。「無糖」の「午後の紅茶」。

ネタバラシすると、「午後の紅茶」はラベルのデザインで覚えてたから知ってた。「無」っていう字だけ大きく書いてあって、それだけ判別できた。それで「無」で何だろうな……って考えて。その人が糖尿病で砂糖を禁止されてたから、たぶん「無糖」なんじゃないかなって。最後は推測で山を張った感じで、それが当たった、って感じかな。

あとエピソードはもう一つあって。エレベーターの中で何か文字が流れてるんだけど、何て書いてあるかよくわからない。でも、エレベーターだから、ドアに挟まれないように物を引け、って書いてあるんだろうな、と思ったら正解だった。状況とか場面とかそういうところから予想をしてる感じ。

どれが先に頭に入ってくるとかはなくて、自分の五感を全部使って判断してる感じ。特に得意な特性はなくて全部を総合的にみてて、だから結局は推測。得た情報から組み立てていくところがある。

さっきの「閉店」の話も同じ。お店が封鎖されてて、紙が貼ってあって、「休みなのか、閉店なのか、移動なのか」って推測した。文字は読んでないけど、「閉店」って言ってたから。

森田: 周りを観察して謎を解いていく。それってすごいことじゃない?

琳斗: それが私にとって当たり前だからね。

ディスレクシアの多様性について

森田: これがディスレクシアの特性なの?

琳斗: わかんない、こうやって推測してるのは私だけかもしれないよ。だって、(文字が)読めるディスレクシアの人もいっぱいいるもん。読めるけど書けない、っていう人もいる。

森田: 車椅子だと「人と同じように走れるね」って言われて、それでもう終わりじゃん、よかったね、って。でもこれはなんかドラマチックだよね。謎解きはロマンがある話だよね。

琳斗: だいぶロマンチックになりましたが。

プロセスの違いについて(宇宙人のたとえ)

森田: 同じ答えにたどり着くけど、違うプロセスを通るってことが、そもそもすごいことで。普通のプロセスだと、巻き尺ないと、もうわかんないじゃん、10メートルが。だってそもそも型とか方程式がないんだから。琳斗はその都度観察して、そこから導き出すわけだから。結果が変わっても対応可能じゃん。これってもし宇宙人が現れても対応可能じゃん。

宇宙人っていえば、映画で見てくと「このパターンだな」とか「タコ型は違うな」とか色々考えられるじゃん。「こういうことをやってきたら、実はこういうことではないか」「実は仲良くしたいんじゃないか」とか。普通はそう思わずに、どっちかに決めちゃうじゃん。「宇宙人は危険か危険じゃないか」って。外務省が「宇宙人との接触は避けるように」っていう通達を出すと、「フレンドリーな宇宙人」っていう可能性は頼りにされなくなる。

琳斗: まあ、そうね、仮に危険な宇宙人が来ても「ちょっと会ってみないとわかんないよね」って言って会いに行くかもね。それで死んだら死んだで、もういいやと思って。寄生獣みたいに寄生されてもいいやって。

AI抽出キーワード:「観察する癖」と「特等席が好き」

森田: 「観察する癖」っていうのと「特等席が好き」っていうのを、AIがキーワードとして抽出してるんだけど、琳斗はこの2つに対して……これは本当に大事なことなの?

琳斗: 「特等席」はどうなんだろう、定義的にはそうだけど、一番前じゃなくて、見方を変えたら一番後ろかもしれないよ。意識してるかわからない。もしかしたら、それは私の「シャドウ」かもしれないね。

森田: でも、ここで見れたのは良かったんでしょ? ヤンキーみたく俺の前に誰もいないぜ、みたいな。

琳斗: 違うよ。人の先頭に立つ傲慢さとは違ってて、いつも相手の状況を見なきゃいけないから、ファーストペンギンは多分向いてないと私は思うよ。

「ファーストペンギン」理論

森田: どういうこと? ファーストペンギンは向いてないの?

琳斗: 一番先行する人は、結局失敗とか、そういうところを修正していくからさ。私は最初に説明書を作って、説明書を読んで完璧に、っていうことがやれないからさ。失敗しつつやっていかないといけないから。先頭に立つのはあんまり得意じゃないな、っていう。なんだろうね。わからん。

「特等席」の意味の再定義

琳斗: 一番前列っていうより「特等席」だよな。要するに後ろかもしれないし、横かもしれないし、場合によっては内側かもしれないし、外側かもしれない。一番よく見える場所、っていうこと。「特等席」の意味合いとしては、特別な席だから、別に最前線ではないよね。

カメラマンのたとえ

森田: よくカメラマンも同じことを言うらしい。カメラマンの仕事は、要するに「撮影する場所に立つこと」であって、カメラを操作する技術はその次、次の次くらい。別に撮るのはiPhoneでも構わない。どこに立つかが一番重要。いいカメラを持って、的外れな場所で撮っても意味がない。

琳斗: 小さくて選手が映ってないじゃないかみたいなね。よくあるよね。運動会で「誰を撮ってんのかよくわからない人」がいっぱいいる。

森田: 撮ること自体はできるんだけど、その人の最高の瞬間がどこなのかを考えて撮る、っていうのが結構難しいらしい。相当な知識がないとできない。「こういう走り方をした時」「こういう表情をした時」が一番本気になってる時で、ここで仕掛けてる、ここが勝利につながった瞬間だ、っていうのは相当観察してないとわからない。でも、琳斗の観察から推測するやり方だと、その答えにたどり着きそうだよね。

琳斗: 逆にそういう情報を取ると思うよ。コースとか、ここで攻めるポイントとか、この選手は去年はここでスパートをかけたとか、そういう過去のデータに基づいて推測すると思う。

終わり

森田: じゃあ、そんなところで全部終わりですかね。いいんですかね。こんなんで記事がちゃんとできるんでしょうか。

琳斗: どうでしょうね。

森田: いい記事になったらいいですね。


未確認事項

  • 「ディスレクシアならこれ読んでよ」と言った相手が誰か(キッコネの利用者か、同僚か、その他か)。元音声では「キッコネの人」としか言っておらず、属性・年齢とも未確定。鴨下さんへの確認が必要。

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