対話ログ|鴨下琳斗インタビュー
2026年6月10日/象の鼻テラス(横浜)
- 公開ステータス:未承認(鴨下琳斗さん・森田さん双方の確認前。出版ゲート未通過)
- 層:対話ログ(読み物)
- 関連記事:横浜パラトライアスロン大会 エイジ部門ボランティア体験(記事本体・差分シート・根拠の要点と対)
- 収録:iPhone ボイスメモ/Plaud
- 文字起こし検品:一次 Claude / Anthropic + 二次 森田(元音声照合)
この対話ログの読み方
これは記事のもとになったインタビューの記録です。整った読み物ではありません。三つのことを、あらかじめお伝えしておきます。
一つ目。録音は三回に分かれています。
一本目は、いちばん聞きたかった質問に入った直後で切れました。二本目はそのあとに録り直したものですが、冒頭ですでに会話が始まっており、録音していない区間があります。三本目も途中から始まります。三本を並べても、この日の会話はつながりません。欠けた部分は埋めずに、欠けたまま示しています。
二つ目。話者の割り当ては、いったん壊れたものを組み直したものです。
自動文字起こしの話者分離は、この収録ではほとんど機能しませんでした。二本目にいたっては、全発言が一人の話者として記録されていました。そのため、質問と答えの形、一人称、文脈から一度すべて割り直し、そのうえで元音声と照合して確定しています。確定しきれなかった箇所は〔 〕で示しました。
三つ目。聞き手には癖があります。
森田は、問いを投げたあとに自分で答えの候補を並べてしまいます。「偉くなりたいですか。なりたくはない、特に」——後半も森田の言葉です。機械が応答と誤認したのはこのためですが、読むうえでも同じ注意が要ります。このログのなかで印象的に響く言葉のいくつかは、聞き手が差し出したものです。
鴨下さんがそれを受け取った箇所と、受け取らなかった箇所があります。読み分けていただけると幸いです。
登場人物
鴨下琳斗(かもした・りんと)
ディスレクシア(読字障害)。横浜パラトライアスロン大会エイジ部門にボランティア(誘導係)として参加。前年はリトモの取材ワークショップに参加。
森田
パラフォト システム担当。視覚障害(弱視)。このインタビューの聞き手。
一本目
〔冒頭に機材の確認と雑談あり。省略〕
森田:じゃあ、質問からいきますか。昨年、トライアスロンの取材に参加していただいて、実際に「支援する人になりたい」ということだったんですけど、どんな思いで過ごされたんですか。
鴨下:どんな思いもなくて……ないっていうか。そういう入り方か。
森田:そういう入り方だ。だから録音すると面倒くさいっていうか、琳斗さんの言語化能力が問われるって感じですね。
鴨下:それはもう知ってるでしょ。ないことを知ってるでしょ、もう。
森田:だから録音するとそうなると。
鴨下:性分っていうかね。性分な気がする、そういうサポートをしたいっていうのは。
森田:何でサポートしたいんですかね。
鴨下:なんでだろうね。そこを突き詰めたことはないかな。
森田:そうなんだ。じゃあ、突き詰めてみますか。
鴨下:みますか。じゃあ今日はそういう感じでいきますかね。
森田:「いきますか」って、さらっと。これはもう、「今日はいい天気ですね」的な話なんだけど……そんな中心の話ではないけど。
鴨下:なんで参加しようと思ったんだっけな。
森田:普通、「記者を養成する」とかいうワークショップに来る人っていうのはどんな人だと思いますか。それはだいたいですね、自分が大好きで、いずれは人々の人生を支えたり励ましたり、何か迷った時に道を指し示すような立派な記事が書ける記者になりたい、とかいう野望を持って、小学生なんだけど現れるわけですよ。
鴨下:そうなんだ。ユーチューバーになりたいみたいな。
森田:そういう人たちもそうだけど。やっぱり「ヒカキンみたいになりたい」とかですね。そういう無謀な思いを抱えて。例えばリトモだったら、取材する選手のようになりたいとか。「お前なれねえよ」とか思っちゃうんですけど。「大変なんだぞ、毎日トレーニングしなきゃいけないんだぞ、お金かかるんだぞ、家族全員でボロボロになりながらメダル目指すんだぞ」とか思っちゃうんですけど。そういうね、あの感じで来るわけですよ。「私もそうなりたいな」って。
鴨下:メディア向けじゃないな、そういう話は。
森田:いや、そういう感じなんだよ。でも、基本的にいろいろ自分を犠牲にして何かを得たいっていう。友達と遊ぶ時間を減らしてもこれを頑張ってやりたいとか、お父さんと今日は遊園地行くはずだったのに行かないで雨の中取材するとか。そういう、役に立つこととか自分の成長とかをしたい、って来るんですけど、琳斗さん、あんまりそういう感じが全くなく。挙句の果てには「人を支えたい」とか言い出したので、「おいおい」って思っちゃうわけですよ。
鴨下:そうなの。多分ね……ごめん、そこはあるね。福祉とかやってるから、多分そうだ、って思っただけで。参加した理由としては多分、運営に興味があったとか、そういう軽い感じだと思うよね。
森田:同じようなことを自分でやりたいと思ったってこと。
鴨下:そうですよね。やっぱり森田さんが言ってた通り、去年と一貫性ある感じじゃないですか。私は[パラトライアスロン大会の]運営になんか文句言ってたじゃないですか。だから試しに、じゃあ果たしてどういう運営母体で、どういうことをしているのかなっていうのを調査しに、まずは入ってみたって感じかな。
森田:なるほど。だからこんな感じだったんですね。要するに、例えばカメラマンとかっていうのは、カメラを持ってスッと入ってくると、体がスッと撮りたいものに向かっていき、そこに没頭していく人たちなんです。だからカメラマンになれるんですけど、撮った後は「俺の写真が一番上手いからみんな見ろ」って思うわけですよ。相手の人より上手くなかったら「クソ機材のせいだ」とか思うんで、100万ぐらいのレンズとか買っちゃうんですよ。これは子供も大人も関係ないですね。他の人はみんなそうだったと思うんですよ。だけど、琳斗さんはそうじゃない。
鴨下:そうだよねー。そうだねー。そういう雰囲気っていうか、そういう感じだったからね。そういう絵しか撮らないからね。なんて言えばいいのかわかんないけど。まあ、とりあえずそういう感じで参加しました。
森田:それは、自分がずいぶん昔からそういう考え方をするタイプなんですか。幼少の頃から。
鴨下:どうなんだろう。そう、まずは相手を観察する、まず情報を集めるっていうのを、確かによくやる手はあるかなとは思いますね。
森田:そうするようになったってことですかね。子供の頃の経験とかで。
鴨下:私はやっぱり、文字からの情報がないっていうところかなと思ってて。やっぱり情報がないと、他のところから情報を取ろうとすると、いろいろ観察するんじゃないかなって。どうなんですか、森田さんもそういう感じじゃないですかね。
森田:文字がわからないから、ってこと。
鴨下:そう。
森田:それが結構自分の性格とかに影響してる?
鴨下:と私は思ってる。
森田:なるほど。事前に例えば台本を丸暗記して撮影に臨むみたいなタイプってことかな。その場で台本見せられても読めないもんね。それは森田もそうだよ。ラジオにこの間出たけど、「台本とか言われても読めねえよ」とか思って、全く関係ない話をしてしまって、みんなポカーンですよね。「いや、読めねえんだけど」とか思って。何が書いてあるか全然わかんないけど、「わかんない」と言えないなとか思いながら。視覚障害者にインタビューしてるのにね、台本が読める〔前提で〕。「こんなちっちゃい字で印刷してくんな」とか、そもそも思ったよ。と思ったけど、それは言わずに、もう同じ話を3回くらいして終わったって感じで。生放送だったから。
鴨下:ああ、生か。
森田:あるあるです。
鴨下:だから、そんな感じだと思うんですよね。
森田:ちっちゃい頃は、自分で好きなことをやったりっていう感じじゃなかった? もうちっちゃい頃からそういう感じだった?
鴨下:そうね。親が言うには、そういう感じで、割と。
森田:障害が生まれた時からあったから、って感じかな。
鴨下:かもしれないし、自閉的なところかもしれないけどね。わかんないけども。エピソード的には、うち兄がいるんですけど、兄にベビーカー取られても「別に」って感じで普通に歩いてたぐらいな感じだったんで。
森田:自分から主張して何かを得るとか、人が食べてるものを奪うとか〔はなかった〕。ちっちゃいながらに手とかを使ってガーって襲いかかって……森田はそういう経験がありますけどね。
鴨下:あんのかい。
森田:兄弟で取り合うっていう。「俺のもんじゃい!」「うるせえよ、私が食べるんじゃい!」とかってガーって。それがもう全部床に落ちて、芝生の上に転がってもみんなで取り合いが続き、ドロドロになったお菓子を奪い合って食べているっていう、恐ろしい兄弟だった。3人兄弟だけど。
鴨下:そうか。そういう意味では、兄とも割と若い頃は喧嘩はしたけど、だんだん喧嘩しなくなってったって感じですね。
森田:そういうのがあって、もともとそういう見方でワークショップとかを見てるってことだね。自分がなんか大人気で……
鴨下:そうだね。
森田:……要するに「俺の金メダルで、ほら見せてやるぜ」みたいな。「かじったところ見せてください」「はい、ほら、かじったよ、写真撮れ撮れ」みたいな、そういうタイプではないってことだよね。選手はみんなそうだったけどね。
鴨下:そうだね。で、なんだっけ、大会委員会の会長が金メダルかじって怒られてたっけ。そんな記事は見た。まあいいんだけど。どっちかっていうとね、それは日本人的なのかな、黙って仕事をするっていうか、職人的な……そっち系に憧れるようにはなってった感じはするよね。
森田:職人みたいな。
鴨下:職人……ちょっと違うかもしれないけど、誰かを応援するっていうか、サポートするっていうか。自分中心じゃなくて相手中心みたいなところは、確かに憧れてたわ。憧れてたね。
森田:憧れてたんだ。具体的にはどんな仕事、職業を……イメージしてたっていうか、「あんな風になれたら」っていうのは。
鴨下:うーん、……(しばらく無言)うーん
森田:ぼんやりしてる? 具体的な仕事はないけどっていうことになると、全く新しい仕事を琳斗さんが頭の中で妄想してたってことになるんだけど。まあ、それはそれでクリエイティブだと思うんだけど。普通は子供の頃見た大人の姿を見てイメージすることが多いよね。子供にインタビューとかすると、だいたい。
鴨下:そうだよね。
森田:そういう子って親がいろんなところに連れ歩くから、例えばF1に連れてったら、F1のメカニックを見て「ああいうのやりたい」と思ったとか。それで本当に実際に入って開発部門に行っちゃう人とかいるからね。で、うちに来てる子なんかだと、やっぱり〔記者に〕なる理由みたいなのがそれぞれにあって。プロレスが好きで、プロレスの実況の熱さに憧れてうちに来て、本当にテレビ局のアナウンサーになった人がいますけどね。
鴨下:なんだろう……。
森田:モデルはないんだね。
鴨下:あったかもしれないけど、
森田:覚えてない。
鴨下:記憶の奥底ですね。
森田:記憶の奥底。「これがきっかけだった」とかいう転機はなかったんだね。
鴨下:うん。こうやって喋ってたら思い出すかもしれない。
森田:思い出すかもしれない。
鴨下:じゃあ、次行きましょう。
森田:それがちょっと、琳斗さんに関しては誰もが引っかかるところだと思うんですよ。だから、吹奏楽の撮影の時は監督だったから、かなり向いてないことをやってたんだと思うんだけど。
鴨下:どうなんだろう。
森田:やってみるのはいいのかなと思って。
鴨下:ありがとうございます。いい経験でしたよ。
森田:普通のコースだと絶対体験しないことだと思うんで、っていうのはちょっと思って。なんか変化が起きるかなと森田は思ってたけど、変わらないから。
鴨下:(笑)
森田:まあ、もともとの性質っていうか、琳斗さんのもともと持ってるものっていうのがあるんだろうと思っていて。それをもう少し分かる形にしていくのが、コンテンツを作っていく中ではやりやすい、ていうか、やってることが繋がっていくと思うので。「じゃあ誰か配信してくれ、記録してくれ」ってお手伝いに行きました、だと、ただ続くだけになっちゃうので。それを形にすることができるといいと思うんですけどね。
さっき「今だからイメージできる職業がない」って言ったじゃないですか。だから、新しい……コンビニみたいな。コンビニって昔なかったんだけど、コンビニっていうのができて、みんなコンビニが世の中に存在することを疑いもしないじゃないですか。ほんの数十年前にはなくて、概念そのものがなかったわけだけど。自分が中心になるわけではない、だけどある程度自分自身のスキルとか力によって誰かの役に立っていって、それなりに収入も得られて、頼りにされている、みたいな職業っていうのは意外と日本には少ない。
特にコンテンツの世界では少なくて、例えば漫画だったら編集者っていうのがいるけど、意外とその出版社っていうのが権力構造で、偉いんだよね編集者って、意外と威張ってんだよね。だからちょっと琳斗さんとは違う。S気質じゃないとできないっていうか。だから新しい仕事なんじゃないかなって思うんだよね。アメリカとかだと、極端なことを言うと、ケーブルを巻いて出すだけの仕事のプロフェッショナルっていうのが実際あるわけだよね。だからハリウッドの世界だと、トム・クルーズさんみたいな仕事のやり方が成り立つわけだよね。1個だけプロだったら、もう同じプロとして現場で仕事ができる。
日本はあんまりそういう考え方がないよね。
誰かが偉くて、周りの人はそれを支えて、犠牲になって、いいものができて、手柄は全部その偉い人が持っていくっていう文化だよね。変わんないんだよね。映画の世界もそうだし、配信も動画もそんなに変わらない。アニメの世界もそうだよね。大勢の人が作るんだけど、給料がとにかく安いしね、アニメーターは。中国とか韓国よりも安いからね。[外国では]プロフェッショナルの人がいて成り立っていて、対等な立場だっていう。例えばアニメの監督と、アニメーター――要するに「動画」って名前がクレジットされる人たちの立場がフラットで、お給料も、下手したら動画マンの方がお金もらってる。「このアクションシーン、この人しか描けない」ってなったら、監督よりもお金もらってるかもしれない。ある意味みんなの憧れだったりする世界が海外にはあるのに、日本ではみんな映画監督みたいなのと同じで、一番トップで取り仕切ってる。日本はそういうものの見方をしがち。偉い人がいて、その人のおかげでみんな食えてる、みたいな。
アイドルの世界でもそうだからね。フロントのアイドルが一番偉くて、他の人はみんな下働きみたいな。あの女の子のおかげで全員食っている。
だから、そういう意味で――全然違うけど――ヘラルボニーみたいなところが新しい形を提示してるじゃない、新しいやり方っていうのを。オルタナティブアートっていうと、ボランティアさんが教えに来てくれて、こういうところ[象の鼻テラス]を借りて展示させてもらって、「制作すること自体が価値があって」。でも、その作品に本当に価値があるんだったら、トップブランドというか、「パリでファッションショーやっちゃうぞ」みたいな、打って出るって感じで、それで評価されてるわけじゃない。ああいうの、森田はわかんないから「このモニモニした模様に価値があるのかしら」とかわかんないんだけど、テキスタイルデザインとかね。でも、それを「価値がある」って言って、ちゃんと対価をもらう。服、高いよね。ヘラルボニーの服は。下手すれば数十万、Tシャツが……
鴨下:ちょろっと見て〔不明瞭〕。
森田:だから、バザーで300円とかで売らないんだよ、絶対。
鴨下:ブランドだね。
森田:だから、これはこれでありで、その「支える仕事」みたいなのも、そういうアメリカの職能システムみたいな、近いような価値のある仕事だから。逆に言うと、そういう人が映画監督になったりするんだよね、アメリカだと。ケーブル巻いてた人が。本当に本当に。なんていうか監督って結局口だけだから、誰がやってもいいわけだよね。「何を見てるか」ってことで違ってくるから。現場にいて、いろんなものをみんなそれぞれ見ていて、物の見方っていうのが違うわけじゃないですか。だから、ケーブル巻いてるお兄ちゃんが作った方が面白いものが撮れる可能性はあるわけ、アイディアがもし彼にあれば。「いつもずっと現場にいて、こう思ってました」ってことをまとめて企画にしてプロデューサーに持っていったら「めっちゃ面白い。お前、監督やれ」って言われて。いきなり、ケーブル巻くしかできないんだけど監督になって。カメラマンとか全部プロフェッショナルだから、「どうすればいいですか」って聞いて、「こういうイメージにしたいんだよ」って言ったら、プロフェッショナルが応えて作品ができて。対等な立場でね。
なんで日本はそうならないのかと思うけど……。なんか結局、上の人に認められないと上に行けないとかっていうのがあるからなんだと思うんだよね、森田が思うのは。アメリカとかだと、プロデューサーにしろCEOにしろ、それが専門職になってるから。プロデューサーはもう人材を発掘する仕事じゃないですか。だから、誰かに認められて、もしくは何かを乗り越えて、主任になって、係長になって、課長になって、やっと部長になって……作品の企画が出せるぞ、みたいなことはないわけだよね。日本は未だにそうだけどね。
でも、それでそんなに悪いものを作ってるわけじゃないからいいのかもしれないけど、でも、ほとんど要するにその人個人の頑張りだよね。組織っていうのは、才能がある人がすごい仕事をしてくれて、対価ももらわずにやりすぎちゃって。逆に言うとプロデューサーも「この人やりすぎちゃうから、組むのどうしようかな」って思っちゃう。「お金持ってこれないな」とか「えらいことになる、完成しないんじゃないか」とかっていう。本当にそういう作家がいっぱいいて、作家性みたいな職人みたいな人たちがいてアニメが作られてるってところ。それは悪いことじゃないとは思うんだけど、外れたらどうなるの、っていうのはあるよね。誰も支えられない。
鴨下:怖い怖い。
森田:なので、琳斗さんにそれを期待してますよ、ってことですね。「支える立場のコンビニ化」みたいなものが、みんなが認識できる存在。「琳斗さんがいるおかげで我々は生活できているから、琳斗さんには1億円払わないといけない」、存在として支える仕事っていうものの、創造っていうのかな。
鴨下:うーん
森田:と思いました、今、話を聞いて。
普通は日本の社会だと、自分の主張をせずに人を助けてる、アシスタントばかりやってる人っていうのは「一生アシスタントでうだつが上がらない」ってことにされてしまうことが多いんだけど、「アシスタントがすごい仕事で、アシスタントがいるからメインの人が仕事ができている」っていう風にできたらば、アシスタントっていう専門職が生まれるわけじゃないですか。もうそうすると、その時点でアシスタントじゃないよね。っていうのはちょっと思ったんですね。その道の途上に琳斗さんはいるのではないかと。どう思いますか。
鴨下:多分、そうだと思いますね。
森田:なんでかっていうと、琳斗さんって、そうなのに、じゃあ本当にペコペコして、ただ自分を犠牲にして周りの人を立てるっていう人かっていうと、そうじゃないので。そこが全然一致してないんだよね。自分は自分として何かやっていきたいのに、人の支えをしたいっていう。そういう感じに……
鴨下:そうねー。
森田:森田には見えます。どうなんですか。
鴨下:……。
森田:なかったら多分ね、あれやらないよ。配信じゃなくて……吹奏楽部の収録とか。「自分が監督になってやろう」という発想が、普通はそもそも「俺には無理ですよ、ごめんなさい。〔名前〕がやるんだったら俺手伝いますけど」ってなるんですよ。でも琳斗さんはならない。支える立場なのに――誰かの役に立ちたいって思う立場なのに――自分が前に出ていくので、掴みどころがない。
鴨下:一番扱いづらいタイプじゃん。
森田:だから、それで自分の居場所を作ればいいんじゃないかと思うわけ。日本にはそういう場所がない。そういう箱がないっていうのかな。どっちかを迫られるじゃないですか。家族を捨てて社長になるとか、友達を捨ててスポーツ選手になるとか、バンドのメンバーをほとんど捨てて「俺とギターだけでデビューする」とか。そういう二択を迫られる。
鴨下:そうだねー。
森田:そっち側に行った人だけが脚光を浴びて。結局、最終的に生き残って長年やって、いろんなことを経験して、最終的には同じところに行くのかもしれないけど、そもそもその体験をさせてもらえない人がいっぱいいるわけじゃない。途中で「お前向いてないよ」って言われて去った人たちで、ひょっとしたら向いてたかもしれない、もっとすごいことができたかもしれない。楽器を持たないバンドマンなんか、今いるじゃん、増えてきたじゃないですか。ボカロとかがあるから、パソコン1台でできちゃう。本当に世界中で評価される曲を作る人なんかも出てきたし。今までは「ギター弾けないんだったらお前ダメ」とか「人前で歌えないんだったらお前ダメ」とか。だから引きこもりのミュージシャンなんてありえなかったんだけど、今は引きこもりのミュージシャン、『ぼっち・ざ・ろっく!』みたいなのが全然成立するじゃないですか。
鴨下:そうだね、Ado顔出ししてないもんね。
森田:そう、そういうことです。それの似たようなことができるんじゃないかと、ちょっと思ったんですね。
鴨下:結局、踏み込みが甘い感じはするよね。無難なところに執着する癖は確かにあるかもしれない。
森田:だったら、その執着することを何かに生かせばいいような気がしますけどね。
鴨下:執着?
森田:え? 執着って言った?
鴨下:踏み込み。
森田:踏み込み?
鴨下:いや、最後のその決断力がないって感じがするんだよね。
森田:そうなんだ。
鴨下:やっぱり無難なところになるよね。そりゃ中途半端な存在にはなるよね、って感じはあるかな。うん。そうねー。「男なら腹をくくって」。
森田:昭和の感じだと、そうだよね。でも、必ずしもそうじゃない人が多いんじゃない。例えばYOASOBIのAyaseさんだっけ。腹をくくって不退転の覚悟でバンドをやって、全然ダメで。それで、レコード会社のプロデューサーから「こういうのやってみたいんだけど、どう? 君、才能ありそうだし、オーディションするから来なよ」って言われて行って。「[短編]小説をテーマに曲を書いてもらいたいんだけど、ボーカルはこの女の子なんだけど」って。2人とも別々の道を進んできてて、単純に2人で組んでみたら、めっちゃ売れちゃって。「こんなんで売れちゃうの?」とか本人たちは思ったと思うんだけど。「めっちゃ頑張ってきたのに俺たち。今まで全然売れなかったのに、これで売れちゃうの?」って。で、次から次へとヒットを重ねていったでしょ。だから、決断力とか努力とかが本当に何かに繋がるかどうかはわからない時代になったとは思いますけどね。
鴨下:でもね、結局、決断しなかったら流されるっていうか、チャンスが来なくなるかな、っていうのはあったりするのかな。
森田:だから、チャンスは来なくならないからだと思うよ。森田が思うのは――SNSっていうのがあって、インターネットも当たり前で、スマホもみんな持ってて、自分で何かに関わろうと思ったら何にでも関われる。今まではそれが、チャンスがないと絶対無理だった。一生懸命、頭下げて土下座して「すみません、俺にカメラやらせてください」とか言わないとやらせてもらえなかったのが、なんか適当に市役所に行ってお手伝いしてたら「面白い子いるな」とか思われて「やってみない?」とか言われて、SNSで繋がって、当日までなんだかよくわかんないまま行ったら「わーい、来てくれた、頑張ろうね」とか言われて、やってみたら「今度またお願いするよ」とか言われちゃったんで。全然チャンスとかぜんぜん掴みにいってないじゃん、琳斗さん。棚からぼたもちですよ。
鴨下:でも、市役所に行ってるわけじゃん。
森田:そうだね、市役所に行ってやってたのは。
鴨下:きっかけにはなってる。そういう行動しないと、やっぱきっかけ〔は生まれない〕。
森田:そうだね、何かをやらないと、っていうのは。人とつながる何か。コンビニに、なんか……
鴨下:買い物に行く。
森田:で、その店員が可愛くて。
鴨下:ヤクザやめるとかさあ。
森田:あ、そうそうそう。
鴨下:みたいな。で、太っちゃう(注・漫画『SAKAMOTO DAYS』のエピソード)
森田:でも、あれを「Amazonでいいや」ってやってたら起きないわけだよね。それはただ来たものを受け取るだけ。でも、置き配じゃなくてハンコ押さなきゃいけない時代は……玄関でとりあえず、来ちゃったどうしようバタバタバタって行って、やばい不在票だよ何時に来てもらおうかなって、何かのきっかけが起きるかもしれない。それをチャンスっていえばチャンスだよね。
鴨下:チャンスですね。
森田:難しいけど。偶然だからね、チャンスは。
鴨下:やっぱ、動かないと多分ダメかな、っていうのは。
森田:それが琳斗さんの思ってることなんだ。
鴨下:動きが足りないのは確か。
森田:足りないっていうか、「足りる」と「足りない」ってどうなの。1日100回……、例えばスポーツの世界だと、「わーいうまく打てた」だとプロじゃなくて、「そのイメージを持って100回素振りしましょう」ってなるよね。「1万回ぐらいやったところから掴めますよ」って言われるわけだけど、本当かなって森田思ってて。どう思います? それで言うと多分ね、市役所に30年ぐらい通わないとチャンスが来ないっていう理屈になるから、いや、違うんじゃないかなと思ってて。
鴨下:イメージね。イメージして来るのと、イメージしないで来るのとでは違うかもしれないけど。
森田:ボランティアに行ってみて、どうでしたか。トライアスロン。
鴨下:よかったよ。誘導だけだったから。ずっと立って、選手を応援してる感じだけだったの。私は朝の部の担当だったから、早朝はそんなにお客さんいなかったから、お客さんがコースに入ることはない〔状況だった〕。
✂ 録音、ここで途切れる
「ボランティアに行ってみて、どうでしたか」——この日いちばん聞きたかった質問への答えが始まった直後で、一本目の録音は終わっている。
このあとしばらく、録音されていない会話が続く。二人がそれに気づいて録り直すまでのあいだに何を話したかは、残っていない。
二本目
森田:もう一回やるか。
鴨下:どっから止まってたんだろう。
森田:もうさっぱりわからん。多分メモリがないのかもしれないな。よし。じゃあ、何かしゃべる? それで、何かポイントになるようなことがあったのかな。
鴨下:ポイントってどこだろう。ポイントどこだろうね。
森田:どこだろうね。……っていう感じ。
鴨下:全体的なところが見れたな。
森田:全体っていうのはなんだろう。
鴨下:全体、雰囲気みたいな。雰囲気なんですよ。
森田:うん、その雰囲気はどんな雰囲気だったんですか。
鴨下:ああ、なんていうか、統率が取れてる感じ。
森田:あ、統率が取れてる感じ。それは琳斗さんの今までの人生経験ではあんまりなかった感じ? 統率が取れてる組織の中に入るのは。
鴨下:はい、そう、あんまりなかった。
森田:うん、じゃあ結構新鮮だ。
鴨下:ヘルパーはもうそんな統率ないよね。普通に働いてる仕事がいろいろ多岐にわたるから。
森田:普通そうだと思うよ。工場とかは別だけど、普通に人がいろいろ動く職場だとそんな統率ないよね。そういう仕事のやり方ができない。
鴨下:まあね。
森田:みんなが右向いてて仕事になる仕事なんてないじゃん。じゃあ、まあ、体験できてよかったなって感じ。
鴨下:そうですよね。
森田:世の中を少し――ひとつ知ったみたいな。
鴨下:深淵を覗いてしまった。
森田:覗いてしまった。知って何か思ったことがあるの? これからこうしようとか。
鴨下:いやあ、こういうイベントごとには参加しようかなっていう感じかな。
森田:参加の敷居が下がったってこと?
鴨下:そうですよね。
森田:その敷居が下がった……今まではどんな敷居があったの?
鴨下:なんなんだろうね。最後の最後の、[大会ボランティアの]申し込みボタンを押すという〔ところ〕。
森田:そうなんだ。
鴨下:意外と踏ん切りがつかない。かなあ。とは、今後は、1回押してみたから、あちこちボタンを押せるようになった感じがする。
森田:そうかもしれない。非常用ベルも押せるかもしれない。
鴨下:非常停止ボタンだ。
森田:押してみないとわからない。じゃあ、琳斗さんの人生にとってはそれは良かったってことなのかな。ボタンが押せるようになった。タイトルは「ボタン押せるようになりました」。
鴨下:キャッチーなの、全然つけておいてください。どうぞ。
森田:あと、なんだろうな。じゃあ、「いちボランティアが街を変える」とかっていうのは? そうは、そうはならないって感じ。
鴨下:逆に、裏を返せばそういう感じかな。
森田:そうなんだね。それはどう思う? それはそれって感じですかね。
鴨下:ああ、多分そうだと思う。
森田:それは……自分のこれからの仕事とかは別にまた考えていて。えっと、やっぱり休日の体験として、ボランティアとしていいなって感じ?「皆さんもやってみたら」的な?
鴨下:これはまあ、皆様に「やってみたら」っていう。皆様がどの皆様かわかんないけど。
森田:一般の人たち、読者とか。
鴨下:そういう人たち? そういう人たちはいいよ、そんな言わなくても。
森田:じゃあ、リトモのワークショップに参加してる人とかにはどう思います?
鴨下:やってみてもいいと思うよ。身体的に[障害があるから]難しいかもしれないけどね。やってみるだけ〔の〕価値はある。
森田:やってみると何かわかることってありますか。
鴨下:あるかな、と。選手だけじゃなくて、選手の周りのサポートしてくれてる人たちの動きとかもわかるわけじゃない。
森田:えっと、それはつまり、観戦に行ってるだけでは見えないものが見えるってことですか。具体的には何が見えましたか。選手が目の前で見れるとか。
鴨下:まあそう、それはまああったけど、一番の観戦席にね、一番前で見れただけだから。誘導係だから。
森田:それはどうでしたか、実際にやってみて。
鴨下:いいなと思った。
森田:じゃあ、それはポイントの一つだね。「やってみる」の。ポイントの一つ目。ポイントの二つ目は何かありますか。
鴨下:そうですね。誘導係とかの仕事内容をまじまじと観察する人なんてそういないから。
森田:どういうこと?
鴨下:「誘導係の観察を私、したいんだ」って言って、ずっと誘導係を双眼鏡で見てる人とかはいないじゃないですか。
森田:わかんないよ。可愛い誘導係がいて、誘導係を毎年見に行っているとか。「ああ、いつものお気に入りのあの子が誘導係やっている」みたいな。
鴨下:そんなもんもう、ここ行け(笑)みたいに。なので、あんまりスポットライトが当たらない仕事だけど、どういうことを考えて、どういうことをやってんのかを〔知るには〕、やってみれば一番手っ取り早いかなっていう。
森田:要するに、それを知るチャンスになると。
鴨下:そう、人知れず働いてる人みたいな。だけど、必要な人。
森田:誘導係がいないと大会ができないんですか。できない?
鴨下:できないと思う。
森田:人が勝手に入ってきてしまう。
鴨下:そうだね。
森田:「ここから入っちゃダメですよ」って言っても、守る人はいないよね。
鴨下:多分ね、普通は。
森田:だからあんなにボランティア〔がいる〕。
鴨下:ロボットでできるかな。
森田:どうだろうね。ロボット、押し切られちゃいそうだけどね。人間だから……人間対人間だから止められるってのは多分あるだろう。もちろん、これからロボットをもっとガッチリ、パトレイバーみたいになるのかもしれないけど。ちょっとロボットって〔パトレイバーは〕違うよね。人が操縦している乗り物だからね。警察官はやっぱ怖いからね。言うこと聞くよね。ロボットが自分でひょろひょろ来たら……ペッパー君に「ダメです、ここから先は入っちゃいけません」って言われて言うこと聞くかっていうと。
鴨下:なぁ、聞かないなぁ、たぶんなぁ。
森田:「所詮ロボット」って思っちゃうよ。配達してくれるロボットいるじゃん。
鴨下:猫ちゃん?
森田:こうニューってきて、お皿取って……。あの子たちが「ダメですダメです」って並んだ時に、人が言うこと聞いてくれるかっていうと、言うこと聞かないかもね。転んだらもうダメそうだしな。「動きません。もう無理です」とか止まっちゃいそうだしね。
鴨下:(笑)
森田:あとはありますか、3つ目の何か。
鴨下:うーん、(しばらく無言)別に……ないかな。
森田:お弁当がうまいとか。
鴨下:お弁当なかった。出なかった。偉い人は役員とかは弁当があるけど。そう、だからペットボトルしかないです。長時間のボランティアさんには出るって書いてあったから。
森田:へえ、出るんだ。あ、そうなんだ。時間によるんだ。
鴨下:偉くなれば〔出る〕。
森田:偉くなりたいですか。なりたくはない、特に。
鴨下:ちょっと……そこじゃないな。
森田:そこじゃない感じ。
鴨下:やりたいこと〔は〕。やっぱり結局、戦う人じゃないのかもしれない、私、結局ね。他人を蹴散らしていくタイプじゃない。
森田:なるほど。
鴨下:じゃないの。
森田:じゃあ、どんな形で、自分だけでしかできないようなことを実現したいですか。ボランティアさんから。特にない。野望はない。参加して楽しかった。
鴨下:……。
森田:例えばボランティアに参加する人がめっちゃ増えて、いろんな人が、関係者が次から次〔に来る〕。お母さんがボランティアをやるとか、近所の人がみんな、〔団体名/未確定〕の人がボランティアに行くとか、八景島の仲間がみんな、シーパラシータ君がボランティアに来てくれるとか。そういう影響力を増やしたいとかは、特にはそういうのはない?
鴨下:うーん、なんか違う気がする。
森田:なんか違うんだね。そういうのでもないってことだね。
鴨下:多分なんかあるとは思うんだけどね。
森田:まだつかめない感じ。
鴨下:うん、行動にも。
森田:それは、だから、社会みたいなものに琳斗さん、関わりたいって思ってるんですか。
鴨下:多分そうだと思う。
森田:コンビニでアルバイトして、お給料もらって、お部屋で……週末ビデオ見て、わーいって思って、コンビニ弁当食って、またコンビニのバイトに行って、で、「あざす」「しゃせー」って言って、じゃ帰ってきて、で、お給料もらって、っていう生活ではない何かを求めてるってことですか。琳斗さんは、今の、好きなアニメ見て、ゲームやって、それでないことをしたい〔と〕。
鴨下:たぶん。コンビニで……コンビニに引っかかんなくてもいいんだけど、コンビニじゃなくてもいいんだけど、まあそういう、仕事して帰って、〔ゲームして、アニメ見て?〕、繰り返しても全然いいとは思ってるんだけどね。
森田:本当はそう思ってるんだ。でもなんか、なんかやりたがるのはなぜ。余計なことに首突っ込むのは。
鴨下:まだ若いからかな。
森田:え?
鴨下:まだ若いからかな。おじいちゃんとか、80とかさ、65――定年とかだったら、それでもいいかなと思うよ。
森田:それは、若さゆえの?
鴨下:と思うよ。
森田:自分ではそう思ってる。やっぱり、何か社会とつながりたいと思ってる。
鴨下:かな、多分。
森田:あ、そうなんだ。
鴨下:多分これでね、65とか……。
森田:じゃあ芥川賞とか、「俺の実力をみんな認めろ」みたいな、そういう欲望はない?
鴨下:それはわからない。もしかしたらシャドウはそう思ってるかもしれない。
森田:シャドウが思ってるかもしれない。
鴨下:俺なんて、俺じゃなーーい。シャドウが暴走しちゃう。
森田:シャドウが暴走しちゃう、って。
鴨下:(笑)わかんないよ。ペルソナが好きな人しかわかんないよ。シャドウ〔なんて〕。Pオタだけだよ。
森田:本当に、そのシャドウはいると思う? 自分の中に。
鴨下:いると思うよ。
森田:思うんだ。やっぱり表向きの琳斗さんとは違うシャドウがいると思ってるんだね。でもそれはうまく説明はできないって感じ?
鴨下:だからシャドウなんです。
森田:だからシャドウ。
鴨下:ナイスな答え。
森田:そうか。パラトライアスロンの魅力には何かありましたか。さっきの「いろんな選手がいる」っていうのはありましたよね。それ以外に。
〔この「さっき」にあたる会話は、どの録音にも残っていない。〕
森田:障害者がトライアスロンをやるっていうことに、そもそも論として、何か気がついたことはありますか。
鴨下:なんか答えを持ってる的な……。
森田:持ってないよ。ただ聞いてみただけ。琳斗さんは自分が障害当事者だから……。さっき言ってたのは、要するに「人権じゃー」とか振りかざしたい人もいるでしょ、もちろん。琳斗さんは、障害者がトライアスロンをやる姿を見て、今回ボランティアをやってみて、いろんな人と一緒に大会を支えてみて、何か思ったことはありますか。これ本当に、琳斗さんが気がついたら気がついたで、気がつかなきゃ気がつかなかったで、なんかこれ思っちゃったっていうんでいいんだけど。特には?
鴨下:あったんだけど。森田さんの話を聞いてたら(笑)。えっとね……なんだっけな。思い出すわ。
森田:なんでしょう。
鴨下:あ、そう。トライアスロンに限って言うんだったら、一般の人でもトライアスロンできないので、障害を持っている挑戦するっていうことは、頭が上がんねえなっていう。
森田:ああ、すごいなっていう。頭が上がらない。
鴨下:かな。
森田:それは、その人が人格的にとても優れてるって思ったってこと?
鴨下:そこまでは、走ってみてないし、わかんないけど。なんていうか、そこに挑戦するっていうメンタリティがすごいなって思った感じかな。
森田:そうなんだね。メンタリティが強い。強さかな。
鴨下:そうかな。
森田:自分にはないと思った。
鴨下:あ、そうね。
森田:さっきの決断力とか、そういうのにつながるんだ。
鴨下:多分つながると思う。
森田:そうなんだ。その強さってなんだろう、みたいな。
鴨下:なんだろうね。
森田:なんだろうね。
鴨下:やっぱり、自分を認めてる。ペルソナに行くのは……(笑)
森田:ペルソナに行っちゃう?
鴨下:自分を認める、シャドウを受け入れる。
森田:まあ、心理学の基本っちゃ基本だね。受け入れる。ありのままを認める。
鴨下:自己肯定感ってやつですね。
森田:まあ、自己肯定感っていうのを感じたっていうことなのかな。その人の心理の状態だけど、要するに肯定してあげるっていうこと、あげるって……
✂ 二本目、ここで終わる
三本目
森田:全然わかんないな。話が。
鴨下:途切れ途切れだね。
森田:途切れ途切れだから。それはいいや。そっか、エイジレースは特にそうだもんね。淡々と、ただ見てただけ。「好きな人は好きなんだな」みたいな。
鴨下:だから来年、違うとこに……プロの方に来年入れればいいんですけど。日にちがね。
森田:そっちも見てみたいの。
鴨下:そう希望としては。
森田:やっぱり迫力あるレースが見たいとかある〔の〕。
鴨下:森田さんが言うように、気持ちが違うわけじゃないですか。選手の。
森田:うん、もちろん。それを見てみたいという感じか。
鴨下:うん、そう。日にちが合えば。
森田:知りたいっていうのはあるんだね、琳斗さんは。自分がやる・やらないとかじゃなくて、いろんな思いを持ってる人の、その人の何かを知りたいっていう。
鴨下:そう、どっちかというと。
森田:そうか。単純にふんわりしてるわけでもないんだね。自分がその一番になりたいわけじゃないけど、いろいろ知りたいものは知りたい。
鴨下:そうね。
森田:探究者だね。
鴨下:何を探究するのかわかりません。
森田:何を探求するんだろうね。じゃあ、そんなところで。適当にまとめました。
鴨下:いいですか。
編集について
したこと
自動文字起こしの話者割り当てを一度すべて解体し、質問と答えの形・一人称・文脈から組み直しました。そのうえで元音声と照合しています。誤変換は直しました(「深淵を覗いてしまった」は当初「私を覗いてしまった」と起こされていました)。笑いや沈黙は、聞き取れた範囲で補っています。
読みやすさのために発言を並べ替えたり、言い直しをまとめたりはしていません。
公開にあたって省略したこと
第三者の氏名や、この場にいない人・団体への踏み込んだ言及など、いくつかの箇所を公開版では省略しました。話の筋が変わらない範囲にとどめています。省略した箇所とその理由は、記録として編集側に残してあります。
しなかったこと
欠落を埋めていません。三本のあいだにある未収録の区間は、そのまま空けてあります。二本目の途中、森田が「さっきの『いろんな選手がいる』っていうのは」と言及している会話は、どの録音にも残っていません。
要約もしていません。この収録には自動生成の要約もありましたが、そちらでは「深淵を覗いてしまった」が「社会を知った」に、冗談の応酬が「心理的障壁の低下」になっていました。整った言葉に置き換えると、本人の話し方が消えます。
読むときに
くり返しになりますが、聞き手が答えの候補を先に並べる場面が何度もあります。「自分にはないと思った」も森田の言葉で、鴨下さんの返事は「あ、そうね」です。
一方で、差し出された枠を受け取らずに言い直している箇所もあります。
森田:それは、その人が人格的にとても優れてるって思ったってこと?
鴨下:そこまでは、走ってみてないし、わかんないけど。森田:探究者だね。
鴨下:何を探究するのかわかりません。
このログのなかで鴨下さん本人の言葉がいちばんはっきり出ているのは、たぶんこういう箇所です。
未確定のまま残っているもの
- 三本のあいだの未収録区間(少なくとも二箇所)
- 二本目で言及される「いろんな選手がいる」の会話の内容
- 「探究」と「探求」——鴨下さんと森田で表記が分かれています。音声では区別できないため、そのままにしています
- 〔団体名/未確定〕とした箇所
文字起こし検品:Claude / Anthropic(一次)、森田(二次・元音声照合)
対話ログ編集:森田