「愛された対象の一覧」「愛の声の中の傷」とは母集団が違う。これは賛否も愛着も問わず、全3,099件の意見(メイン・サブ・その他欄)から、施設が抱えていた負の身体経験・不具合・不便を拾い、種類別にまとめたもの。愛する人が漏らした傷だけでなく、突き放した傷、無関心な傷も含む。row=集計データ行番号。全394件の遡行用データは分析ファイルの〈傷 全件(遡行用)〉シートにある。
老朽・破損の傷(最多)
- メインプールの床が壊れている ―― 「現状の床は去年から壊れている」「メインプールの床が壊れているのもバスケを始めてから」(row1661, 1639)。バスケ用の床転換・使用が原因という指摘。愛の声の「底面が荒れている」(row2543)と同じ物証を、別の角度から。
- 観客席の雨漏り ―― 「観客席で雨漏りするところがあるのでメンテナンスしてほしい」(row53)。
- 電光掲示板の劣化 ―― 「メインアリーナの電光掲示板が劣化しており視認性が悪い」(row94)。
- 全般の老朽(改修が必要な規模) ―― 「老朽化から5千人規模のイベント誘致には改修が必要」(row13)。
空調・暑さの傷
- 夏は蒸し風呂 ―― 「夏は空調が効いておらず蒸し風呂状態」「観戦中に冷房がなく、春先の湿気で蒸し風呂」(row27, 63)。
- 暑くて運動会が不安 ―― 「最近暑くて春の運動会が不安だった」(row42)。
- 観客席の空調が届かない ―― 「観客席の空調が効くよう、ガラスで区切ったほうが快適」(row115)。
暗さ・光の傷
- 入口ロビーが半地下で薄暗い ―― 「入口のロビーが半地下で薄暗く狭い、もっと明るく開放感を」(row120)。外から開放的に見えて、中は暗いという乖離。
- プール内トイレが薄暗くて怖い ―― 「トイレが薄暗く怖いので明るくしてほしい」(row53)。
- 音や放送がなく余計に暗く感じる ―― 「音楽、アナウンスがなく余計に暗く感じる」(row2867)。
段差・階段・入口の傷
- 北山田駅からの長い階段 ―― 「あの階段がつらすぎて立ち寄ろうと思えない」(引っ越してきた住民・row143)「駅まで長い階段のみ」(row2030)。
- 1階席は段差が低く見にくい ―― 「1階席は段差が低くて見にくい」「パイプ椅子で観戦しにくい」(row14, 148)。
- 2階席の端はコートから遠い ―― 「もともとプールのため2階席の端はコートからかなり外れている」(row14)。
狭さ・席・見にくさの傷
- サブプールの観客席が少なく、プールサイドが狭い ―― 「観客席350程度で少なく、プールサイドの幅が狭い」(row2096)。代替とされる側の器の不足。
- 駐車場が狭い ―― 「駐車場が狭い」(row685)。
- すり鉢状でない席配置で観戦しにくい ―― 「ビジョン側と飛び込み台側の席はコートから離れ観戦しにくい、すり鉢状にすべき」(row128)。
トイレ・更衣・水回りの傷
- シャワー故障・トイレの流れの悪さが放置 ―― 「シャワーが故障したりトイレの流れが悪いのに全く修繕されない」(row2327)「シャワーが使えない」(row2561)。
- トイレが各席から遠い ―― 「トイレは増設し各席から近くに配置してほしい」(row2689)。
アクセス・導線の傷
- 駅からのアクセスの悪さ ―― 「北山田駅からのアクセスの見直しを」(row144, 147)。市の原案でも斜行モノレール整備が追加された論点。
- 客席との動線の悪さ ―― 「客席との動線の悪さを解消してほしい」(row56)。
- 大会時の交通規制で近隣に迷惑 ―― 「試合後の交通規制でプール利用者や近隣住民に迷惑」(row2030)。
床転換の無駄・休館の傷(最多クラス)
- 毎年5,100万円・年2ヶ月の休館 ―― 「床転換だけで毎年5,100万円、作業中は合計2ヶ月近く利用できない」(row94, 189)。この「無駄」は、廃止を求める側・容認する側の双方が最も繰り返した傷。
- 床転換装置そのものの故障 ―― 「床転換装置が壊れて水深2mにしていると聞いた」(row3056)。
設備故障・運営不備の傷
- 修繕されない設備 ―― 「シャワー故障やトイレの不具合が全く修繕されない」(row2327)。
- 他施設も同様に故障休業 ―― 「旭プールも毎年どこかしら壊れて休業している」(row466)。横浜の水泳施設全体の老朽を示唆。
※「床転換の無駄」と「老朽」が、傷の中で突出して多い。この二つは、まさに市が廃止の根拠に挙げたもの。つまり施設の傷の全体像は、廃止の論理とかなり重なっている。愛の声の中の傷(好きだからこそ気づいた傷)と違い、こちらには「だから壊してよい」へ接続する傷も多く含まれる。同じ「傷」でも、誰が何のために名指すかで、向かう先が正反対になる。
全394件の傷(種類ラベル・該当語・原文つき)は「横浜国際プール_問いの四象限.xlsx」の〈傷 全件(遡行用)〉シートで、賛否・居住地とともに遡れる。